わかりやすいソースコード(覚え書き)

■わかりやすさの定義とその必要性

 そもそも「わかりやすい」とはどういうことを指し示しているのか。理解しやすいという意味が全てなのであろうか。それでは理解しやすいとは具体的にはどういったことなのであろうか。

 ソースコード(プログラム)は、それが作成された時点における、多種多様な状況を含んでいる。認知心理学における状況論的思考をすれば、状況の存在しない(判断できない)ソースコードは、ただの記号の羅列であるとも言える。

 逆に考えれば、そのソースコードが記述された時間、場所、状況を知ることができれば、そのソースコードが非常に複雑であったり、異常なまでに大きかったり、自分の知らない国の言葉でコメントが記述されたりしていても、その内容の半分は理解できたと言っても過言ではない。すなわち、わかりやすいソースコードのもっとも重要な要因は、それが作成された状況が把握可能であるかということである。

 また、「わかりやすい」ソースコードが必要とされる状況はそれ程多くない。それは、そのプログラムを記述した人間と異なる他人が、そのソースコードを修正したり、利用したりする場合か、もしくは、そのプログラムが記述されてから一定期間以上経過した後、本人が他人と同等になるくらい、そのプログラムについて忘れている場合である。また、例外的な状況としては、本人が何らかの事情により、そのプログラムを記述した時と比較してある一定以上、思考能力が低下してしまった場合にも、必要になる場合があるが、どの状況においても、自分以外の人間(もしくは他人と同等になってしまった自分)に対して、自分の思考プロセスを伝達する場合に必要になると言えるのではないだろうか。